正直に打ち明けます。私が何年もかけて、必死に手作業でこなしていた仕事は、VBAでプログラムを組んだ瞬間、ほとんど何もしなくても終わるようになりました。そのとき最初に来た感情は、達成感ではありませんでした。「なんだ、誰でもできることを、自分は時間をかけてやっていただけなのか」という、少し寂しいような気持ちでした。
でも、今でははっきり言えます。その「誰でもできるように変えた工夫」こそが、職務経歴書に書ける、れっきとした実績です。毎月の集計や転記をExcelやVBAで少し楽にした経験は、「どの作業を・どう変えて・何が楽になったか」に言い換えれば、自己PRやPCスキル欄に整理できます。
売上もない、表彰もない。事務や定型業務が中心だと、「書けることなんて、自分には何もない」と感じますよね。私も同じでした。SUM関数と平均くらいしか使えなかった人間が、工場の現場で残業に追われながら、Excelとにらめっこしていた——この記事は、あのころの自分のような人に向けて書いています。
この記事では、私が実際にやってきた業務改善を例に、あなたの「地味な作業」を職務経歴書の一文に変える手順を、テンプレと例文つきで紹介します。大手転職サービスの解説も読み比べていますが、結論は各社おおむね共通していて、実績は必ずしも売上や表彰のような派手な数字でなくてよい、ということです。
| 取り組みやすさ | |
| 書類への落とし込みやすさ | |
| 実務での重要度 |
※本記事の情報は 2026年6月時点 のものです。各転職サービスの内容や募集要項は変わることがあるため、最新情報は各公式サイトをご確認ください。
業務改善は職務経歴書に書ける実績になる

「実績がない」と感じるとき、多くの場合は本当に実績がないのではなく、実績の捉え方が狭くなっているだけです。まずはここをほぐします。私の話から始めさせてください。
「実績がない」と感じる人の多くは“実績の定義”が狭い
私はもともと工場の交代勤務で、現場作業がメインでした。それが欠員で日勤に上がり、月報や在庫管理を任されることに。引き継ぎマニュアルを開いたら、中身は「全部、手計算でやる」前提でした。前任者は計算をすべて電卓でこなし、その結果をExcelに手打ちしていた。完全に「その人にしかできない」状態だったんです。
だから最初は、私もただ手作業を引き継ぎました。「これのどこが実績になるんだ」と思っていました。でも、これは順番が逆でした。売上や表彰だけが実績ではありません。リクルートエージェントの解説でも、職務経歴書には業務内容だけでなく、創意工夫・努力・注力したこと・その成果を書いてよいとされています(リクルートエージェント「職務経験が少ない方向けの書き方」)。
数字で示せる成果がなくても、書き方はあります。エン転職の転職アドバイザーへのQ&Aでも、次のように説明されています。
実績は、必ずしも数値化したものでなくてはならないということはありません。
出典: エン転職「数字で示せる実績がない場合」
つまり「前任者が電卓でやっていた作業を、誰でも回せる形に変えた」——これは、属人化を解消した実績として整理できます。「こんな小さいことを書いていいのかな」と迷う場合でも、まずは材料として書き出してみる価値があります。大事なのは規模よりも、課題→工夫→変化の流れを、自分の言葉で説明できるかです。
数字がない実績は「頻度・件数・時間・関係者数」で言い換える
数字は“ひねり出す”のではなく“探して掘り起こす”ものです。私の場合、改善のいちばん分かりやすい指標は「残業時間」でした。定常業務と日常業務が並行して重なり、残業はじわじわ膨らんで、毎月40時間前後——36協定の上限が見えるところまで来ていました。正直、このままでは続かないと思っていました。
それがVBAで自動化を進めるうちに、40時間、30時間、そして20時間台へと減っていきました。売上の数字はなくても、こうした身近な数字なら、日常業務の中にいくらでも潜んでいます。
- 1日・1か月あたりの処理件数(例: 取引データの入力 ◯件/日)
- 作業にかかっていた時間と、短縮できた時間
- 作業の頻度の変化(例: 月次集計の手作業が半分に)
- ミス・手戻り・問い合わせの減少
- 関わった関係者数や部署の規模
数字を出すときは、比較の基準をセットにすると伝わりやすくなります。「20%削減」だけでなく「前月比で」「導入前と比べて」を添えると、採用担当者が成果の大きさを判断しやすくなります(リクナビNEXT「職務経歴書『実績』の書き方」)。
正確に測っていない数字は“概算・逆算”で整理する
ここで先回りしておきます。「そもそも時間なんて正確に測っていない」——そう感じる人も多いはずです。私も、ストップウォッチで計っていたわけではありません。まずは概算として、次の順番で逆算してみてください。
- 1回あたり、だいたい何分かかっていたか思い出す(例: 1回30分)
- 月に何回くらいやっていたか思い出す(例: 月20回)
- かけ算で月あたりの時間を出す(例: 約10時間)
- 改善後はどのくらいかを、同じ基準で出す(例: 約3時間)
数字には「約」「およそ」「程度」を添えれば、誇張にはなりません。むしろ大切なのは盛らないことです。少し控えめなくらいの数字のほうが、面接で深掘りされても落ち着いて説明できます。
どうしても時間が出せないときは、頻度の変化(毎月→四半期に1回)や、状態の変化(自分しかできない→誰でもできる)でも、改善の材料として伝えられます。「正確な実測」より「根拠のある概算」を意識すると、説明しやすくなります。
職務経歴書に実績がない人がまず見直す業務とPCスキル

書く材料は、特別な仕事ではなく「毎日のあたりまえの業務」の中にあります。ここを棚卸しすると、書ける実績が見えてきます。
毎月の集計・転記・チェックなど“地味な定型業務”を棚卸しする
私が実際に抱えていたのは、こんな業務でした。どれも、はたから見れば地味な定型業務です。
- 請求書の作成(その月の取引量・生産量などの集計)
- 伝票を見ながらの取引データの手入力と、メールでの送信
- 廃棄物の数量を台帳に転記してレポートにまとめる作業
- 原材料の在庫管理(受け入れ量と使用量を毎日Excelに入力・計算)

「ただのルーティンだ」と思っていましたが、ここにこそ改善の余地がありました。とくに属人化の解消やマニュアル化は、事務職の実績として評価されやすいポイントです。「自分にしかできない」状態を「チームの誰でも回せる」状態に変えた経験は、再現性のある改善として伝わります(リクナビNEXT「事務職の自己PR例文」)。
PCスキル欄は「使えます」ではなく機能名+使用場面で書く
PCスキル欄でやりがちなのが、「Excelが使えます」「業務上支障ありません」「初級です」といった書き方です。これらは採用担当者がレベルを判断できないため、複数の大手解説でNG例として挙げられています(Indeed「PCスキルの書き方の例」、JAC Recruitment「PCスキルの書き方」)。
私自身、最初はSUMと平均くらいしか使えませんでした。「VLOOKUPって何ですか」というレベルから始まり、IF関数を覚えたときには「条件分岐できる=これはもうプログラムだ」と本気で感動したものです。スキルは、こうして一段ずつ上がっていきます。Excelスキルは、転職サービス各社でおおむね次の3段階で整理されています(パソナ「PCスキル自己診断」)。
| レベル | 目安となる機能 |
|---|---|
| 初級 | 四則演算、SUM・AVERAGE、グラフ作成 |
| 中級 | IF関数、VLOOKUP、ピボットテーブル |
| 上級 | マクロ・VBAによる自動化、高度なデータ分析 |
大事なのは、使った機能名と、それを何に使ったかをセットで書くことです。たとえば、こう書きます。
Excel:VLOOKUP・ピボットテーブル・マクロ(VBA)を用いた月次集計の自動化
なお、書くスキルは応募先の求人で求められているものから逆算して選ぶのが基本です。関係のないスキルを並べると、かえって要点がぼやけます。
求人票を見ながら、書くスキルを選ぶ
PCスキル欄は、使える機能を全部並べるより、応募先で求められている内容から逆算した方が伝わりやすくなります。リクナビNEXTで実際の求人票を見ておくと、自分のExcel・VBA経験をどの言葉で書くか整理しやすくなります。
求人票を見ながらPCスキルを整理する転職を決めていなくても、求人票の言葉を確認するだけで、職務経歴書に書く材料を選びやすくなります。
登録や利用だけで書類通過・内定が決まるものではありません。サービス内容はリンク先で確認してください。
「業務改善」が伝わる言い換え語彙集
同じ経験でも、言葉を選ぶだけで採用担当者への伝わり方は変わります。ふだんの言い方を、職務経歴書で使える言葉に「翻訳」してみましょう。
| ふだんの言い方 | 職務経歴書で使える言い方 |
|---|---|
| 毎月Excelで集計していた | 月次データの集計業務を効率化・標準化した |
| マクロ/VBAを組んだ | 定型作業をVBAで自動化し、処理時間と入力ミスを削減した |
| やり方をみんなに教えた | 業務を標準化・マニュアル化し、属人化を解消した |
| ダブルチェックしていた | チェック工程を整備し、ヒューマンエラーを抑制した |
| データをまとめていた | 複数データを一元管理・可視化した |
| 早く終わるようにした | 作業時間(工数)を削減した |
| 間違いを減らした | 品質を改善し、手戻りを削減した |
※これは事実を超えて大きく見せる「盛り」とは違います。やったことを、正しい言葉に置き換えるだけです。実際にやっていないことは書かないようにします。
Excel・VBAの業務改善を自己PRに変える書き方と例文

ここが本記事の中心です。棚卸しした業務改善を、職務経歴書の実績欄や自己PRの文章に落とし込みます。
Before→Action→Result(STAR法)で書く基本の型
実績や自己PRは、次の流れで書くと採用担当者に伝わりやすくなります。これはJAC RecruitmentがSTAR法(Situation・Task・Action・Result)として解説している型と同じ考え方です(JAC Recruitment「実績の書き方・STAR法」)。
- Before(課題):どんな手作業・困りごとがあったか
- Action(行動):Excel関数・VBA・テンプレ化で何を変えたか
- Result(成果):時間・件数・ミス・引き継ぎやすさがどう変わったか

迷ったら、まずは次の穴埋めに当てはめてみてください。これだけで実績の一文の骨組みができます。
- テンプレ
「【いつ・どの業務】で、【あった課題・手作業】だったところを、【Excel/VBAでした工夫】に変え、【時間・件数・ミスなど】が【どう変わったか】になりました。」
- 埋めた例
「原材料の在庫管理で、受け入れ量と使用量を毎日手計算していたところを、VBAで自動計算する仕組みに変え、入力と確認の手間を大きく減らしました。」
さらに、個人の改善にとどめず、チームや部署への波及まで書けると、改善の再現性が伝わりやすくなります(リクルートエージェント「自己PRの書き方」)。自己PRの文章は「冒頭で強みを宣言→具体的な行動と数値→入社後の貢献イメージ」の順にすると読みやすくなります。
そのまま使える変換例文(私の実体験+他職種)
まずは私の実体験を、職務経歴書の一文に変換した例です。続けて、経理・営業事務のモデル例も載せます。実際に書くときは、自分の作業内容と数字に置き換えてください(マイナビ転職「一般事務・庶務の職務経歴書」、エン転職「事務職の自己PR」 も参考になります)。
- Before
- 請求書作成・在庫管理・取引データの入力を、前任者から引き継いだ手計算と手打ちで処理していた
- Action
- Excel関数で計算を整理し、VBAで在庫計算とレポート作成を自動化。メール送信用のテンプレートも整備
- Result
- 手作業と確認の時間を大きく減らし、月の残業を40時間前後から20時間台まで圧縮。前任者しかできなかった業務を、引き継ぎやすい形に
職務経歴書の一文例
「月報・在庫管理・取引データ入力をExcel関数とVBAで自動化し、月の残業を約半分に削減。手計算で属人化していた業務を、担当者が代わっても回せる形に標準化」
- Before
- 月次の経費集計を手入力で行い、締め日前に作業が集中していた
- Action
- ピボットテーブルで集計を半自動化し、入力チェック用の関数を追加
- Result
- 月次締めの作業時間を前月比で約20%削減し、入力の差し戻しを減らした
一文例
「月次経費集計をピボットテーブルで半自動化し、締め作業の時間を前月比で約20%削減」
- Before
- 受発注処理の優先順位が属人的で、納期遅れがときどき発生していた
- Action
- 処理状況をExcelで一覧管理し、期日が近い案件を色分け表示する仕組みを作成
- Result
- 納期遅れの発生を抑え、チーム内で進捗を共有できるようにした
これらを文章としてつなげると、自己PR欄にそのまま入れられます。下は例1をもとにした自己PRの全文イメージ(約200字)です。
前職では工場の生産事務として、請求書の作成や原材料の在庫管理を担当していました。前任者から引き継いだ当初は、計算も転記もすべて手作業で、月の残業が40時間前後まで膨らんでいました。そこでExcel関数で計算を整理し、独学で学んだVBAで在庫計算や請求書・帳票作成を自動化。あわせてメール送信の手順もテンプレート化しました。結果として残業を20時間台まで減らし、前任者しかできなかった業務を、誰でも回せる形に標準化できました。入社後も、定型業務の改善と標準化でチームに貢献したいと考えています。
※数値はサンプルです。必ず自分の作業内容と実際の数字に置き換えてください。
書き方の方向性は、次のイメージです。
| 避けたい書き方 | おすすめの書き方 |
|---|---|
| 「Excelが得意です」「PCスキルは一通りあります」 | 「月次集計でVLOOKUP・ピボットテーブル・VBAを使い、確認作業を短縮しました」 |
やってはいけない書き方(誇張・スキル名の羅列)
最後に、避けたい書き方です。
- 誇張・断定
- スキル名だけで評価が決まるように見せる表現は、根拠が示せず逆効果になりがちです。あくまで「何を改善したか」を主役にします。
- スキル名だけを盛る
- 使える機能名を並べるだけでは、実際に何ができるか伝わりません。使用場面と成果をセットにします。
- 例文の丸写し
- ネット上の例文をそのまま使うと、自分の経験とずれて面接で説明できなくなります。私の例文も、あくまで骨組みとして自分の作業に置き換えてください。
職務経歴書の実績づくりでよくある疑問とまとめ
最後に、よくある疑問への回答と、書き方に迷ったときの相談先をまとめます。
よくある疑問(FAQ)
書き方に迷ったときの相談先(PR)
正直に書くと、私自身は転職をしていません。ただ、残業に追われていたころは「このまま続けるなら、転職もありかな」と頭をよぎったことはありました。もしあのとき、自分の経験を「どう書けば実績に見えるのか」を相談できる場所を知っていたら、もっと早く整理できたと思います。
業務を棚卸ししても書き方が分からないときは、第三者に見てもらうと材料を拾いやすくなります。用途で分けて考えると整理しやすくなります。
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書き出した実績を、次の行動につなげる
Excelでの小さな改善を書き出せたら、次は「求人を見ながら整える」か「第三者に見てもらう」かを選ぶ段階です。
自分で整理して進めたい人へ
リクナビNEXT
求人を見ながら、職務経歴やレジュメを自分のペースで整えたいときに使いやすい選択肢です。
- 求人情報を見ながら強みを整理したい
- レジュメの下書きをまず自分で作りたい
- 今すぐ相談より、情報収集から始めたい
書き方を相談しながら進めたい人へ
リクルートエージェント
職務経歴書で何を実績として伝えるか、面接でどう話すかまで相談したい場合の選択肢です。
- 職務経歴書の見せ方に迷っている
- Excelでの改善経験をどう言語化するか相談したい
- 求人紹介も含めて転職活動を進めたい
※登録や相談だけで書類通過・内定が決まるものではありません。サービス内容や対象条件は、リンク先の公式ページで最新情報を確認してください。
実績を“作る”側へ
書ける実績は、あとから増やせる。
正直に言うと、いちばん効くのは実績の“書き方”より、書ける実績そのものを増やすことでした。私の場合、それは Excel・VBA、そして最近はAIで定型業務を自動化すること。同じ「地味な作業」で悩んでいる人へ、私が実際に通った順番で置いておきます。
Excel VBAエディタの開き方 から。本文の例文で出した「メール送信のテンプレ化」は VBAでOutlookメールを自動化 で解説しています。
Schedika(Excel工程表メーカー)自作ツール。ローカル完結・買い切りで、クラウド禁止の会社でも使えます。まずは無料の範囲で。合う・合わないはあります。
実績は、書いて終わりではありません。書ける実績を1つずつ増やすほど、次の一歩は軽くなっていきます。
※「Schedika」は私が制作したツールで、一部にプロモーションを含みます。リンク先の内容・料金は各ページの最新情報をご確認ください。
まとめ|地味な作業は、あなたの武器になる
- 業務改善は職務経歴書に書ける実績。売上や表彰がなくてもよい
- 数字は「件数・時間・頻度・ミスの減少」で探し、なければ概算・逆算でよい
- PCスキルは「機能名+使用場面+成果」で書く
- 自己PRはBefore→Action→Result、できればチームへの波及まで
完璧な文章を最初から目指す必要はありません。まずは次の3ステップだけ、今日やってみてください。
【今日の5分でできる3ステップ】
- 毎月やっている定型業務を3つ書き出す
- それぞれ「どの作業を・どう変えて・何が楽になったか」をメモする
- そのうち1つを、Before→Action→Resultの形に並べてみる
最後に、いちばん伝えたいことを。プログラムを組み終えたとき、私は「誰でもできることを、時間をかけてやっていただけか」と少し寂しくなりました。でも、それはまったく逆でした。誰でもできる形に変えたこと自体が、価値だったんです。今はAIという心強い味方もあります。実務で使い込むには多少の投資が要ることもありますが、その分、残業で奪われていた時間を取り戻せます。大人になってからでも、勉強さえすれば、働き方は確かに変えられます。1行でも書けたら、それがあなたの職務経歴書の——そして、次の一歩の下書きです。

